紅茶製造

 

スリランカ紅茶教室 NO10
 

 
緑茶も紅茶も、カメリア・シネンシスの木から造られます。
緑茶は発酵させず、茶摘み後すぐに蒸され、軽やかな水色と香りを生み出します。

紅茶は発酵させてから乾燥させているため、
より暗い水色で、さらに深いコクのある味わいと濃厚な香りが生まれるのです。

 ▪ 生産

 一般に高い標高の冷涼な環境で栽培されるものには、香りの優れたものが多く、強い日射の低地で栽培されたものには水色の濃いものが多いとされています。
 ヌワラエリヤ、ウヴァ、ディンブラなどは前者に、ルフナ、サバラガムワは後者に入ります。
 一般的に高地で栽培されたものが好まれていましたが、近年では強い香りを好む中近東地域で低地産紅茶の消費が増えています。
 セイロン紅茶の場合、産地の標高により明確に分類され、1,219m(4,000ft)以上のものをハイ・グロウン、610m(2,000ft)以下のものをロウ・グロウン、その間のものをミディアム・グロウンと呼びます、産地により最高品質の茶が採れる季節(クォリティーシーズンと呼ぶ)が異なります、ウヴァは8・9月、ディンブラは1・2月とされていますが、最近は季節風の関係で予測が難しくなりつつあります。


 最も古典的なTrue Orthodox製法です。

現在の紅茶の製造法は19世紀中頃、イギリスが中国紅茶の製法を参考にインドアッサム種を用いて製造した方法が改良されたものです。

紅茶の製造は以下の工程からなります。
生産(栽培、収穫) ⇒ 萎凋 ⇒ 揉捻 ⇒ 玉解 ⇒ 篩分 ⇒ 揉捻 ⇒ 発酵 ⇒ 乾燥(⇒ 抽出)
 ▪ 栽培

次の条件を満たす地域が茶樹の栽培に適するとされている。
 気温の高い季節にかなりの量の降水があり、土壌が弱酸性であり、土壌の排水性が良いこと。
収穫期に、乾燥した寒暖差の激しい日が続くと香気に優れた茶葉が得られるとも言われる。
茶樹は、病虫害や気候の変動に比較的良く耐える植物であるが、良質な茶葉を生産するためには専門の管理士の指導のもと安くて良質な労働力が重要になりす。

・親木 mother tree

挿し穂を取るために特別に管理されている、母樹とも言われています。
品質、収量、耐病性のある、試験場で選抜された優良品種からたくさんの穂が取れるよう、広く株仕立てにして、新芽を摘まずに硬化させてから茎に一葉をつけて挿し穂の収穫をします。

・苗木 

種を植える方法(播種法 実生)
取り木あるいは挿し木による方法(圧條法)
 苗床:地面に近い親木の枝梢の一部を土中に埋め、枝の一部から根が生え、根付いたのを    確かめてから親木から枝を切り離します。
    挿木穂をビニールポットに挿し、日覆と風除けをした専用の場所に並べ、1~2年苗を育    成してから農場に植え付けます。
    農場に植え付けられた後2~3年で収穫が可能となります

・植付け planting

新しく開墾地に植える新植えと古い茶園を更新する改植する方法があります。
新植の場合は初めに開墾地にガテマラ草やレモン草などを2~3年植え土壌の改善行います。
改植の場合は、天地返しをして微量成分を補給します。
現在一般的に行われているのは、ビニールポットに挿し木したものをそのまま穴を掘って植え込み、風で動かないように支柱で支える方法です。

・親木 mother tree

挿し穂を取るために特別に管理されています、母樹とも言われています。
品質、収量、耐病性のある、試験場で選抜された優良品種からたくさんの穂が取れるよう、広く株仕立てにして、新芽を摘まずに硬化させてから茎に一葉をつけて挿し穂の収穫をします。 

収穫

茶の収穫(茶摘みと呼ぶ)は、普通人手で行なわれています。
枝の先端の芽(芯と呼ぶ)と、その下二枚の葉までを摘む方法(一芯二葉摘みと呼ぶ)が理想とされるが、実際はもう一枚下の葉まで含めて摘む方法(一芯三葉摘み)が一般的になっている。
高級茶葉は一芯一葉摘みなので、チップを多く含んでいる。

   摘採 Plucking

茶の葉は木を植えてから3~4年で収穫しますが、昔は芯芽とそのすぐ下の若葉(一芯二葉といいます)を摘採していましたが、最近は木の管理が良くなったため一芯四葉辺りまで摘採しています。
インド、スリランカでは一般的には手摘みで行われています。
生葉は午前中と午後に分けて工場に運ばれ、各自の摘んだ生葉を軽量し、実働記録を取り週毎に賃金の支払いを受けます
 一定の長さに成長した新芽だけを選んで摘んでいる、平均的摘み方は一芯三葉です
作業能率は1人1日20~30kg。(生葉4kgで紅茶1kg、1かごに20kgの生葉が入る)茶摘は一般的に女性(ティーネラナワ:カダナ)の仕事とされている、10~15人を1グループにして、管理指導者の男性が付いているのが通常である。
急斜面の多い一部の畑では男性が行っているところもある
 摘採の間隔 : ハイグロウン=2~3週間 ミディアム=10日毎 ロー=1週間毎

 2028年 : 一日の摘採量 20kg=125Rp 30kg=170Rp
       一般の仕事 : 女性=125Rp  男性=225Rp
   萎凋  Withering

摘採した生葉に含まれている水分を取り除くために重量が30~40%に減るまで40~50゜の熱風を18~20時間かけて葉をしおらせて柔らかくします
 通常は生葉の水分の約半分を平均的に取り去る、生葉の重量減45%が適度とされる。
(CTC製法では30%減の弱萎凋、ダージリンの特に香りの良い茶を作る時は60%減の強萎凋とする。適性な萎凋で香気成分は生葉の10倍に増加している)
葉を握り締めた時、弾力がなくなっており、握力をゆるめても、葉の塊が解けず、葉に手指の跡が残る程度がよい。
長さ30メートル、幅2メートル、高さ1メートルの木枠の槽を作る。
床下80センチを堀り穴とし片隅に強力な送風機を設置する、槽の床は鉄の格子をつけその上にネットを枠の外まで敷いて、生葉を60センチ程度の厚さに塊が出来ないようにほぐしていれる。
送風機を回すと地下の穴に空気の圧力が高まり生葉の間を通り抜ける。
萎凋が平均化するよう数回軽く茶葉の層の上下をかき混ぜる。
 揉捻 Rolling

萎凋した葉を揉念機に掛けて何回か揉みます、揉むことで葉から酸化酵素を含む汁液を絞り出し空気に触れさせて酸化発酵を促します。
この発酵が紅茶の香り、味、色を決めます。
 紅茶は揉捻開始とともに抽出した茶汁が空気に触れて発酵が始まります
茶として味わう成分は茶葉の細胞組織の中にあり、葉のままでは熱湯に溶け出てこない、細胞膜を揉みほぐし細胞組織を破壊して細胞内の可溶成分が溶け出しやすくする。
細胞組織を均一に揉み潰す(もみつぶす)には生葉の水分が多いと大きく切断され液汁は充分に浸出できないので、萎凋の工程で水分を半分近くまで取り除いておく。全量の半分くらいになる 
小葉=ローターウェン(BOP 60%、BOPF)
中葉=セミリーフ(BOP 10%)
大葉=リーフ(OP)
紅茶は酵素の働きを利用するので、萎凋で香気を出す準備をし、揉捻でカテキンを酸化酵素と空気中の酸素と混ぜ合わせ発酵を開始させる。
揉捻開始とともに茶の汁液が空気に触れると同時に発酵が始まる。
   玉解・ふるい分け  

揉念中に葉が塊状態となる性質があるので、それをほぐし平均的に空気に触れさせ均一に発酵させます。
ふるいにかけ落ちたのは次の工程である発酵に、ふるいに残った塊の葉は再び揉念機にかけます。
再揉捻
30分程度かけて再び揉捻を行ない、茶葉の形状を整えるとともに、揉捻を完成にさせます。
  発酵 Fermentation

茶葉中に含まれる酸化酵素の作用を利用してカテキン類を酸化発酵させます。
気温25℃、湿度95%の部屋に2時間程度静置します、揉念によって発酵が始まった葉はここで紅茶としての発酵を完成させます。
紅茶製造において、萎凋から発酵までの工程が大切で、特に発酵作業は風味を決定する最も重要な部分です。
発酵時間は2~3時間の中でベストタイミングで発酵を止めることができ、紅茶発酵度合いの良し悪しを管理できるのです。
茶葉は酸化酵素の働きで赤銅色となり芳香を放つようになります。
水色もこの発酵具合で左右されます。
最近では揉念中に温湿度を与え、発酵を促進させる方法も採用されています 
 茶の成分のカテキン類が揉捻により細胞の中から染み出すと空気中の酸素に触れポリフェノール酸化酵素の助けを受けて赤い色素のテアフラビン、テアルビジンとその酸化重合物に変化します、同時にアミノ酸やアオバアルコールから変化して紅茶特有の香気が発生します。
1~2時間(生産地、季節によっての違いがあります)発酵させることにより緑色の揉捻葉は銅色に変わります。
フレッシュな香りを重視する時は発酵時間を短くします、水色を濃くする時は充分に時間をかけます。
発酵は次の乾燥によって止められます。

納豆やパンの発酵は菌によるものですが、紅茶の発酵は皮をむいたリンゴが赤くなるのと同じように酸化発酵させる事でカテキン類が紅茶のアロマへと変化します。
紅茶製造において、萎凋から発酵までの工程が大切で、特に発酵作業は風味を決定する最も重要な部分です。
発酵時間は2~3時間のベストタイミングに発酵を止めることにより、紅茶発酵度合いの良し悪しを管理できるます。紅茶の発酵現象は厳密に言えば萎凋工程から始まっていますが、目に見えるのはポリフェノールの酸化発酵による反応だけで、これは揉捻と共に始まります。
   乾燥 Drying

十分に発酵した茶葉に熱を与え茶葉中の酵素を失活させることで発酵を終了させるとともに、60%近くある茶葉の水分量が3~4%程度になるまで連続乾燥機で
一度に乾かします。
葉の色は紫褐色となり、収縮硬化して貯蔵可能な状態となります。
*ローストティー
最近は乾燥時間を長くし香り(スモーク)の強お茶も創られています、スモーキーな匂いになりアラビア地方に人気があります   
 55%~65%もある水分を3%程度になるまで連続乾燥で一度に乾かします、投入時間20分、熱風温度摂氏120度の熱風を下部が投入して発酵止めと乾燥を同時に行います。大葉、中葉、小葉によって時間が変わります。
化学変化としては水分の蒸発、揮発性成分の散失、酵素の失活、糖分のカラメル化、アミノ酸の変質がありますが、水分が3~5%になって初めて貯蔵、輸送が可能となり、紅茶らしい香味、水色が固定されます。
 
荒茶(raw tea)

乾燥までを終了し形状を整えていない茶のこと。
茶の製造で乾燥までを終了した茶のこと。
グレード別に梱包しオークションを通し出荷します。
   グレード分け grading

荒茶をふるいで大小に仕分け、不純物を取り除き一定のサイズに整えます
 現在主流とされているサイズは、大きい順にOP、BOP、BOPF PEKOとされていますがこの他にもいくつものサイズが造られています。
品質には関係なく葉の大きさを揃え、サイズと形状を表しています、またサイズの表示も厳密な規格はなく、産地ごとの慣習により目安とされています。
現在では以前より形が多少小さくなっているようです。





1. 美味しい紅茶の条件  2. 成分と薬用効果  3. スリランカの紅茶  4. Ceylon Teaの歴史
5.  等級区分  6. ジェームステーラー  7. ポリフェノール  8. 茶の木
9. 茶の起源 10.紅茶製造  11.カフェイン