私たちはなぜお茶を必要とするのでしょうか、
人は生きてゆく為にいろいろなことを行います、
お腹が減ったら何かを食べます、どこかが痒くなったら一生懸命掻きますし眠くなったら眠ってしまいます、
そしてのどが渇いたら水を飲みます。
人間は身体の3/4が水分だと言われています、水が不足すると生きて行くことが出来ません。
人は1日に2.5ℓの水を必要とします、その内の1,5ℓを飲み水として取ります、700ccを食べた物から、残りの300ccは身体の中の代謝によって出来てきます。
また反対に1,5ℓを尿として排泄し1ℓを汗や皮膚から発散させています。
日本人はいろいろなお茶を飲みますがその中でも緑茶を飲む回数が一番多いのではないでしょうか、しかし世界中では水についで多く飲まれているのが紅茶です、そしてアルコール、コーヒーと続きます。
飲み水の安全性を考えた時私達は水を煮沸して安全なものとして使用いたします、その時最も人の好みに合いしかもいろいろな効用が認められた飲み物がチャでありました。 |
茶の起源 |
茶は日本で古くから親しまれている飲み物です。
日本には喫茶の習慣として遣唐使を媒体として他の文化と同様に平安時代に中国から伝わり、鎌倉時代には禅宗の僧侶を中心として広がりました。
人がチャに出会ったのは約2060年前と言われ、中国の神話では5000年も前から茶を飲んでいたと伝えられます、茶の最初の発見は紀元前2737年頃といわれ茶の原産地は中国西南部の雲南省と貴州省、四川省にまたがる山岳地帯(雲貴高原)と雲南省南部あたりとする説があります。
茶は中国の伝説上の皇帝、神農の贈り物と云う言い伝えがあります、神農は別名シュンナ皇帝とも炎帝親王とも呼ばれ、中国の古代猟銃採集時代(紀元前3400年頃)に人々に農耕を教え火の使い方を教えた農作物の神であり、医薬の祖とされ人身牛頭の姿をしていたと伝えられています。
人々を病の苦しみから救うため毎日山野のいろいろな草や木の葉を口に入れ噛んで試し薬になるかどうか判断をしていました、その中には毒を持っている物もあり一日に72もの毒に当ったこともありましたが、神農は夜寝床に入る前に必ず茶を飲んで解毒していたので大事に至らなかったと云う有名な話が残っています。
神農は茶を発見し且つ利用した最初の人と言われています。
ある日家来達に「生水は万病の元、煮立ててから飲むがよろしい」と火を使って水を沸かして飲むことを教えていたところ鉄鍋の下で燃えていた木の枝がはじけて数枚の木の葉が湯の中に入りました、その湯は芳香を保ち美しい水色になりました、その湯を飲んだところ味も良いので早速この葉を調べて見ると野生の茶の木でした、これはすばらしい薬であると感嘆しその後茶の普及に努めました。
インドでは次のような話が伝わっています。
インド香至国の王子だった若い頃(紀元517年)の達磨さんが禅の修業のために中国に行き崇山の少林寺で面壁9年の座禅の修行に入っていた時のことです。修行3年目に入ると猛烈な睡魔に襲われ眠気がどうしても取れず修行が出来なくなりました、達磨さんは意を決っして自分の瞼を切り取り捨てて睡魔を払おうとしました、その瞼を捨てた所の土に一本の木が生え見る間に大木となり青い葉が繁りました、驚いた達磨さんが木の葉をちぎって食べたところ眠気が取れてしまいました、その後、眠くなると木の葉を食べて達磨さんは修行を達成することが出来ました。
この木が茶の木であり達磨さんの修行の恩人だと言われています、その後いくつもの修行を重ね達磨大使と言われる高僧になりましたとさ。これらの話は伝承的な作り話ですが中国でもインドでも茶には薬用効果があったこと、貴重品として扱われていたことがわかります。 |
茶とは |
中国の神農伝説では4700年以上も前から水は煮沸して安全なものにしてから飲まれていました、水を沸かす時にいろいろな野生の草木を入れて一緒に煮立てたと考えられます、その中で最も人々の好みに合いいろいろな効用が認められていたのがチャでありました。
チャは多くある飲料の中で多分酒についで古い歴史を持っていると考えられます、チャは薬として利用されたのがその始まりでした。
チャは水に色や香や味を加えて水そのものをおいしく人々に飲ませることに役立っていました、人々がチャを飲むことによって口にする食べ物に別の風味を加えて食べやすくすることにも役立っていました。
茶の木はツバキ科の仲間で“カメリヤ シナンシス”(Camellia Sinensis)と呼ばれる亜熱帯性の植物です。
寿命の長い永年性の常緑樹で平均気温13℃以上、年間降雨量おおよそ1,400mmが保たれる弱酸性土壌地域に分布しています。
9月~11月頃に白い花を付け午前中に開花します、茶の樹の花の香はとても上品ですが弱くかすかに香ります、花と同時に種子も付けます、茶の木の上の方の枝に花がつき下の方の枝に実がつきます。 |
茶は樹の新芽とその脇の2枚目、3枚目の若葉から作られていました、これを「一芯二葉」あるいは「一芯三葉」といいます。
茶は茶の樹の新芽、若葉、柔らかい茎などを原料としてその土地の製茶工場で作られます。
植物の葉には参加酵素があり、葉が傷ついたり千切れたりすると細胞が空気に触れて酸化酵素が働き茶の成分となります。
茶の品質は気象条件と製茶の技術によって大きく影響を受けます。 |
紅茶は酸化酵素の働きによってタンニンを発酵させて作ります、熱帯の強い直射日光をうけてタンニク含有量の多い葉の大きくてやわらかい品質のものが紅茶の原料葉には最適とされています。
茶の樹は大きくは中国種とアッサム種にけられます、 |
中国種 中国小葉種 樹高が低く分枝数が多い
葉は小さく、濃緑色で硬い
緑茶の製造に適しています
この小葉種の雑種が日本に伝わったと言われています
中国大葉種 樹高5mに達し葉は丸型で大きい
生育は四川省から雲南省に多く見られます
インド種
インド小葉種 樹高5~10mに達する高木性
葉は細長く、淡緑色
インド大葉種 樹高15~16mの高木性で分枝数は少ない
葉は大きく葉先が尖っている
葉肉は薄く柔軟で濃緑色
インドのアッサム、マニプル地方に産する |
インド、セイロンでは植え付けから3年で定植し5年目から摘採が可能となります。
亜熱帯地域では殆ど年間を通して摘採が可能となり25年から30年位が最も経済的な摘採期間であるとされています。
日本でも明治初年九州に「紅茶伝習所」が開設され紅茶製造を試みましたが品質の良い物が出来ず挫折しました、また戦争後にも鹿児島県、高知県などでの温暖地域に植え付け品質改良に努力しましたが気候、雨量、日照の条件が整わず断念しました。
近年日本各地に於いて紅茶生産が始まり関心を持たれています。 |
緑茶・烏龍茶・紅茶の違い
緑茶、烏龍茶、紅茶とも学名カメリヤ・シナンシス(別名テア・シネンシス)という同一の樹の葉から作られます。
緑茶は生葉摘採後直ぐ、短時間過熱し醗酵を止め製造する為不醗酵茶と呼ばれます。
紅茶は摘んだ葉を100%醗酵させてから製造に入りますので醗酵茶となります。
烏龍茶は紅茶の製造に似ていますが完全な醗酵を行わず途中で止めて乾燥させ作り上げます。 |
緑茶・烏龍茶の製造方法
緑茶には蒸気により熱をかける蒸し製法、蒸青(日本式)と釜で炒り熱をかける釜炒り製法、炒青(中国式)の二通りに分かれます。
現在、中国茶は学術的に六大茶に分類されています。 |
蒸し製法 (蒸青 日本式)
普通煎茶 : 茶葉を蒸して揉みながら乾燥させたもの
日本で生産されている茶の80%程度が煎茶、深蒸し煎茶で占められています
深蒸し煎茶 : 茶葉の蒸し時間が普通煎茶に比べて2~3倍にすることにより味に特徴が出る
かぶせちゃ : 一番茶の適採前7日前後にわらや寒冷紗などで茶園をおおって育てた茶葉を
原料 として煎茶と同じ製法で製造されたお茶
玉露 : 一番茶の新芽が伸びだした頃から、よしず棚などにわらや寒冷紗などで茶園を
覆いほとんど 完全に日光を遮断した茶園で育成した茶葉を原料として煎茶製法
で製造されたお茶
碾茶 : 覆下園で適採された茶葉を煎茶製法により蒸した葉を揉まずに乾燥させたもの、
抹茶の原料に使用されます |
釜炒り製法 (炒青 中国式)
緑茶 : 1.生の葉を釜で炒り酸化醗酵を止める (殺青)
2.揉捻機又は手で揉み形を整える (揉捻)
3.乾燥させる (乾燥)
炒青緑茶 : 1,2,3の工程を全て釜の中で行い作られたお茶
晒青緑茶 : 1,2と行い2の揉捻のあとの乾燥を天日で行い作られるお茶
烘青緑茶 : 晒青緑茶と同様に1,2を行い火であぶり乾燥させる製法で作られたお茶
玉緑茶 ; 鉄製の釜で茶葉を炒りながら揉み乾燥させて勾玉状に仕上げた茶
黄茶
製造方法は緑茶に類似しているが途中で軽い醗酵が行われる
1.生の葉を釜で炒り酸化醗酵を止める (殺青)
2.揉捻機又は手で揉み形を整える (揉捻)
3.加熱し茶葉を乾燥させる (初烘)
4.乾燥中に推積して弱醗酵させる (悶黄)
5.再度乾燥を行う (復烘)
出来上がった茶葉の色が黄色味を帯びていること、湯に入れたとき茶汁が黄色く
出るものが良質とされています |
白茶
殺青・揉捻を行わず独特の製造方法が取られる
1.摘採された茶葉を重ならないように並べ、葉の中の水分を短時間蒸発
させる (萎凋)
2.水分量5%まで乾燥させる |
黒茶
茶葉を緊圧し固形にしたお茶 磚茶、団茶、餅茶、と呼ばれている
1.生の葉を釜で炒り酸化醗酵を止める (殺青)
2.揉捻機又は手で揉み形を整える (揉捻)
3.揉捻後の含水茶葉を積み重ね微生物を繁殖させる (握堆)
4.醗酵の促進を見て茶葉を再度も揉み乾燥させる (復揉)
5.低温でゆっくり乾燥させる (乾燥) |
青茶 : 烏龍茶、包種茶がこれに当る |
烏龍茶 : 半醗酵茶で緑茶と紅茶の中間に位置する |
包種茶
軽度に醗酵、酸化させた醗酵茶の一種で一般に茉莉花の乾燥したものを入れ
ジャスミン茶として知られている
1. 茶葉の水分を蒸発させる (萎凋)
天日に当てる日光萎凋と室内萎凋かあります、室内萎凋の場合には
茶葉を揺すって攪拌します
2. 酸化醗酵を促す (発酵)
3. 高温で醗酵の働きを一時停止させる (殺青)
4. 揉捻機又は手で揉み形を整える (揉捻)
5. 竹かごなどに入れ乾燥させる (烘焙) |
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紅茶の作り方
* オーソドックス製法
苗木 Nursery
種を植える方法
取り木方法
摘採 Plucking
茶の葉は木を植えてから3~4年で収穫しますが、本来は芯芽とそのすぐ下の若葉(一芯二葉 といいます)を摘採していましたが、最近は木の管理が良くなったため一芯四葉辺りまで摘採しています。
インド、スリランカでは一般的には手摘みで行われています。
萎凋 Withering
摘採した生葉に含まれている水分を取り除くために、一般的には45%減を標準に40℃~50℃の熱風を8時間~12時間送り葉を柔らかくします
揉捻 Rolling
萎凋した葉を揉念機に掛けて何回か揉みます、揉むことで葉から酸化酵素を含む汁液を絞り出し空気に触れさせて酸化発酵を促します。
この発酵が紅茶の香り、味、色を決めます。
玉解・ふるい分け
揉念中に葉が塊たまり状態となるため、この塊を崩して、熱を冷まし空気を当てて均一に発酵させます。
ふるいにかけ落ちたのは次の工程である発酵に、ふるいに残った大きな葉は再び揉念機にかけます。
発酵 Fermentation
通常温度摂氏25度、湿度90%の状態で2時間静置します。
揉念によって発酵が始まった葉はここで紅茶としての発酵を完成させます。茶葉は酸化酵素の働きで赤銅色となり芳香を放つようになります。
水色もこの発酵具合で左右されます。
最近では揉念中に温湿度を与え、発酵を促進させる方法も採用されています。
乾燥 Drying
120℃の熱風を約20分間与えて発酵を止め乾燥を行います。
葉の水分量55%の茶葉を含有水分量3%になるまで乾かします。
葉の色は紫褐色となり、収縮硬化して貯蔵可能な状態となります。
荒茶 raw tea
茶の製造で乾燥までを終了し、形状を整えていない茶のこと。
最近では精製工程一貫して行うことが一般的である |
*ローターバン製法
発酵の前に葉をカットします。茶葉の発酵がより効果的に行われ、時間短縮と大量処理が可能とな ります。
短時間に濃い抽出液が得られ主にティーバック用茶葉になります。 |
*CTC製法
CTC機という揉念機を使った製法。細胞の破壊が著しく、葉の汁液は完全に絞り出され、短時間に発酵し、乾燥されます。
C=クラッシュ(つぶす)
T=ティア(引き裂く)
C=カール(丸める)の略
2本のステンレス製の筒の表面に細かい刃が切ってあり、揉捻された葉はこの筒の間を通過する事によりクラッシュ、ティア、カールされ細かく粉砕され、粒状に丸められていきます。 |
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